Amazonでモバイルバッテリーを探すと、聞いたことのない名前のメーカーがずらり。
そんな中でわたしが選ぶのは、名前を知っていて、評価もよくて、値段もほどほどのAnker(アンカー)。モバイルバッテリー界のAppleくらいの気持ちで、なぜか信頼しています。
ところが調べてみたら、そのAnkerは中国の会社でした! でも、危ないかどうかは、「中国製かどうか」では決まらないみたいです。
じゃあ、何を見て選べばいいの? 大手のAnkerなら安心?
Ankerって、本当に中国の会社なの?
Ankerについて知っていたのは、Googleの人が作った会社ということくらい。名前も英語っぽいので、わたしはずっとアメリカかヨーロッパの会社だと思っていました。中国の会社だなんて、全然知らなかった。
Ankerは中国の会社。本社は中国の長沙
アメリカのGoogle本社で働いていたエンジニアが作った会社。今の本社は中国の湖南省長沙市。日本で売っているのは、日本法人のアンカー・ジャパン(東京)。(百科事典のWikipediaなどより)
というわけで、Ankerはれっきとした中国の会社。でも、それでがっかりしたり不安になったりは全然なくて、むしろ「すごいな中国」としか思いません。名前は英語、生まれは中国。

つまり、わたしが信頼していたのは中国の会社のバッテリー。そうなると気になるのが、Ankerの次に信頼している、名前に「グリーン」が入る大手です。たぶんUGREEN(ユーグリーン)のことですが、調べてみたらこちらも中国の深センに本社がある会社でした。
中国製かどうかで、危ないかは分けられる?
Ankerもユーグリーンも中国の会社なら、ほかのバッテリーはどうなんだろう。調べてみると、中国のビジネスニュースを日本語で伝える36Kr Japanに、こんな数字がありました。
世界のモバイルバッテリーの8〜9割は中国製
世界で出荷されるモバイルバッテリーのうち、8〜9割が中国製、という業界の推計。中国は、世界でいちばんモバイルバッテリーを作っている国。(36Kr Japanより)
ほぼ9割、中国! これはもう、ほぼ全部が中国製と言ってもいいくらいです。すごいな中国、とあらためて思いました。

それだけ中国製が多いのに、全国の主要な家電量販店やネットショップで売れた数を集めたBCNランキングでは、「モバイルバッテリ・充電器」の部門の1位は、日本の会社のエレコムでした。2025年の1年間の数で、この部門では12年連続の1位なんだとか。
エレコム? そんなに選ばれているんだ。名前はよく聞くけど、わたしの中では正直、印象が薄いメーカーでした(悪いイメージではなく、買ったことがないかも、というくらい)。それにしても、8〜9割が中国製なのに、日本のエレコムがいちばん売れているって、どういう数え方?
答えは、数えているものがちがうから。8〜9割は「どこの工場で作ったか」の数で、1位は「どこの会社の商品が売れたか」の数です。しかもエレコムの担当の人はインタビューで、モバイルバッテリーは海外の委託工場(作るのをまかせている工場)で作っている、と話していました。

そう考えると、日本の会社の商品でも、作っている場所は海外ということは、ふつうにあるわけです。ほぼ全部が中国製なら、「中国製」は危ないかどうかの目印にならない。国の名前だけでは、決められなさそうです。
じゃあ、危ないのはどんなバッテリー?
とはいえ、モバイルバッテリーの事故が増えているのは本当みたいです。製品の事故を調べている国の機関、NITE(ナイト)には、リチウムイオン電池の入った製品の事故が、2021〜2025年の5年で2,140件も知らされているそう。製品別ではモバイルバッテリーがいちばん多く、2025年は2021年の3倍以上に増えていました。
爆発するとまでは、さすがに思っていなかったけど、数字で見るとリアル。しかも、増えているのがこわい。これは、ちゃんと選ばなきゃ。
ただ、ほぼ全部が中国製なら、事故を起こしたバッテリーの多くが中国製になるのも、割合として当たり前な気がします。実際、NITEの発表の中に、事故を「中国製かどうか」で分けた数は見当たりませんでした。危ないかどうかは、国とは別の所にありそうです。
思い当たるのは、前に知った話。昔のわたしは、Amazonの星の数やレビューの数だけを見て、知らないメーカーでも買っていました。でも、販売ページの容量のわりに、小さすぎる・軽すぎる明らかにおかしいバッテリーがあるみたいだと知ってから、考えが変わったんです。今は、Ankerのような大手でしか買いません。
問題があったのは、全部ネットで買った安い電池
海外の検査会社が、電子機器によく使われる筒の形の電池を1,000個あまり、X線で調べた結果。問題が見つかったのは全部、ネットで買った安い電池。大手メーカーのふりをした電池や、ありえない容量を書いた電池もあった。大手メーカーの正規品からは、問題は見つからず。(INTERNET Watchの記事より)
盛っている商品は、本当にあったんですね。表示の数字を、わたしは信じすぎていたのかもしれません。軽すぎる大容量は、怪しいと思って正解。表示の数字より、手に持った重さのほうが正直なのかも。

というように、問題のある電池はネットの安い商品に集まっていました。Amazonなら表示とちがえば返品もしやすいはずなのに、それで売る側の儲けになるのかな? 20,000mAhと書いてあって中身が10,000mAhでも、ふつうの人には見分けがつかないし、調べない人はそのまま使い続けるのかもしれません。売る側が本当に得をしているのかまでは、調べても分かりませんでした。
チェッカーで中身を測ってレビューに書いてくれる人がたまにいますが、ああいうのは本当に助かる。ちなみに、広告どおりの性能が出ないことは国やブランドを問わずある、と36Kr Japanも書いていて、中国のIT系のニュースサイトが調べたときは、Ankerもふくめた8ブランドが全部、宣伝ほどの速さでは充電できなかったそうです。こわいのは国より、売り方。
Ankerが選ばれるのはなぜ?大手なら安心なの?
そもそも、Ankerはなぜこんなに選ばれるのか。アンカー・ジャパンの社長は2025年9月のインタビューで、Amazonで買った人の星1〜3のレビューの割合を毎週まとめて見ていると話していました。星3.5くらいの製品は、お客さんが満足していないのだから売るべきではない、とも。
わたしがAnkerを選んだ決め手の1つも、Amazonの評価。わたしが見ていた評価を、会社のほうも毎週見ていたということです。でも、大手なら絶対に安心かというと、そうでもありませんでした。
大手のAnkerでも、自主回収が続いた
2025年6月、アンカー・ジャパンがモバイルバッテリーを自主回収(会社が自分から製品を引き取ること)。原因は、電池の中身を作る会社が、Ankerの品質基準に合わない部品を勝手に使っていたこと。10月にも別の回収があり、経済産業省が会社に、管理のしかたについての報告を求めた。(経済産業省・PHILE WEB・MONOistより)
2026年9月には、回収中の製品で火事が起きたことも発表されています(原因は調査中)。正直、Ankerでも起きるのかと思いました。でも、ちゃんとチェックして、こうやって大々的に回収もしているということは、ある意味信頼できるのかも。

こうして見ると、回収のたびに名前が出るのは、裏を返せば隠していないということで、そこは偉い。今後はさらに厳しい基準を課されるんだろうし、こういうことがあった会社は、逆に信頼できる気もします。大手の安心は、事故が起きないことより、起きたときに隠さないこと。
もし今、Ankerのモバイルバッテリーを持っているなら、回収の対象かどうかは気になるところ。アンカー・ジャパンの受付ページでは、シリアル番号(製品ごとの番号)を入れると、回収の対象か分かる製品もあります。回収のお知らせは、経済産業省や消費者庁のリコール情報のページにも出ています。
次に買うとき、どこを見ればいい?
次にバッテリーを買うときに見る所も、調べてみました。まず日本では、2019年2月から、PSEマーク(日本の安全の決まりに合っている印)の無いモバイルバッテリーは、売ってはいけなくなっています。PSEマークは、わたしも前から見ていました。
海外の売り手にも、日本の責任者が必要に
2025年12月から、海外の売り手がネットのお店などで日本の人に直接売るときも、日本国内の責任者(国内管理人)を置くことが求められるようになった。それまでは、日本で責任を持つ会社がいないまま売られることもあった。(経済産業省より)
さらにNITEは、買う前に、売っている会社の連絡先や製品の情報、リコールの情報を確かめるよう呼びかけています。つまり見ておきたいのは、何かあったときに、日本で責任を持って対応してくれる会社かどうか。

ここまで調べてみても、大手のAnkerを選んでおけば楽、というのは、わたしの中で変わりません。見るのは「どこの国か」より、「どこの会社が責任を持つか」。中国の会社だと知っても、Ankerへの信頼はそのまま。次のバッテリーも、たぶんAnkerです!

