スマートフォン市場をリードし続けるiPhoneですが、ここ数年で日本における価格が大きく上昇しています。
アメリカでは価格据え置きが続く一方で、日本では毎年のように値上げが続いているのはなぜでしょうか?
この記事では、iPhoneの値上げの歴史を振り返りながら、その背景となる為替の影響と今後の展望について掘り下げていきます。
日本とアメリカの価格の違い
まず、近年のiPhoneの日米での価格推移を見てみましょう。
以下はアメリカでの価格推移です。
・iPhone 11 (2019年9月発売: 699ドル
・iPhone 12 (2020年11月発売): 799ドル(+100ドル)
・iPhone 13 (2021年9月発売): 799ドル(据え置き)
・iPhone 14 (2022年9月発売): 799ドル(据え置き)
・iPhone 15 (2023年9月発売): 799ドル(据え置き)
・iPhone 16 (2024年発売): 799ドル(据え置き)
ななななんと!!
アメリカではiPhone 12以降、価格を799ドルに据え置き続けています。これは調べてみて、めちゃくちゃビックリしました!
一方、日本での価格推移はどうでしょうか?
【日本でのiPhone価格推移】
・iPhone 11 (2019年9月発売): 7万4800円
・iPhone 12 (2020年10月発売): 8万5800円(+1万1000円)
・iPhone 13 (2021年9月発売): 9万8800円(+1万3000円)
・iPhone 14 (2022年9月発売): 11万9800円(+2万1000円)
・iPhone 15 (2023年9月発売): 12万4800円(+5000円)
・iPhone 16 (2024年発売): 12万4800円(据え置き)
日本ではiPhone 15まで毎年のように値上げされています。
特に、iPhone 13からiPhone 14への移行時には、一度に2万1000円という大幅な値上げが実施されています。
この背景には、為替の変動が大きく関わっています。
発売時の為替レートを見てみると、、、
【発売時の為替レート(1ドル)】
・iPhone 11 (2019年9月): 約108.56円
・iPhone 12 (2020年10月): 約105.20円
・iPhone 13 (2021年9月): 約110.91円
・iPhone 14 (2022年9月): 約143.61円
・iPhone 15 (2023年9月): 約148.17円
iPhone 12からiPhone 15までの間に、為替レートは105.20円から148.17円へと約1.41倍になっています。
この期間の日本でのiPhone価格も8万5800円から12万4800円へと約1.46倍になっており、値上げ分はほぼ為替変動の影響を反映していることがわかります。じゃあ、円高になればiPhoneが安くなるのかな、、、
2022年に大きく値上げ
2022年7月には、アップルが日本市場で大規模な値上げに踏み切りました。この時の値上げはどれほどのものだったのでしょうか?
【2022年7月の値上げ内容】
・iPhone 13: 9万8800円 → 11万7800円(+1万9000円、約19%増)
・iPhone SE: 5万7800円 → 6万2800円(+5000円)
・iPad: その他製品も含めて最大25%の値上げ
この値上げはiPhoneだけでなく、iPad、Apple Watchなど幅広いアップル製品に及びました。
2022年の大規模値上げは日本に限った動きであり、米国では価格据え置きが続いていました。
なぜ2022年に大規模な値上げが行われたのでしょうか???
その背景には、急激な円安の進行があります。2022年春以降、日米の金利差の拡大を背景に円安が進み、アップルの収益に大きな影響を及ぼしていました。
この円安によって、日本でiPhoneを含むApple製品を購入する際、以前と同じドル価格でも円換算すると大幅に高くなってしまったのです。
今後のiPhone価格はどうなる?
2025年4月現在、最新のiPhoneに関する価格懸念はさらに大きくなっています。これは特にアメリカ市場において顕著です。
トランプ大統領が導入した関税政策により、中国製品に最大54%の関税が課される可能性が出てきました。iPhoneを含むApple製品の多くは中国で製造されているため、この政策の影響を直接受ける可能性があります。
【米国における関税の影響予測】
・iPhone 16 (現行価格): 799ドル(約11万7000円)
・関税適用後の予想価格: 最大1142ドル(約16万7000円)、約43%増
・最悪の場合: 2.5倍の価格上昇も懸念されている
アメリカでは、この関税政策の影響を懸念して「パニック買い」の動きも見られます。Bloombergによれば、先週末のAppleストアでは、値上がりを心配する客でホリデーシーズンのような混雑が発生したとのこと。これによって短期的にはiPhoneの販売が伸びる可能性がありますが、関税の影響が本格的に表れるのは7月以降と見られています。
では、この関税政策は日本の価格にどう影響するでしょうか?
各国のiPhoneの販売価格はアメリカの価格がベースとなっているため、日本でも価格が上がる可能性があります。もし米国での価格が2.5倍になった場合、日本でも大幅な値上げが予想されます。
ただし、アップルは関税対策として以下の対応を検討しているようです:
・インドなど税率の低い国への生産シフト加速
・在庫の増加
・ベトナムやマレーシア、アイルランドなどでの生産拡大
アップルが中国以外での生産体制をどれだけ早く構築できるかが、今後の価格動向の鍵となりそうです。
また、日本の価格については、円安・円高の動きも重要な要素です。2024年7月末に日銀が政策金利を0.25%引き上げた後に円高への揺り戻しが起こったように、為替変動も価格に影響します。
iPhoneの値上げから見える国際経済の影響と消費者の選択
iPhoneの値上げの歴史から、私たちは何を学べるでしょうか?
まず、円安の進行が日本における電子機器の価格に大きな影響を与えていることが明らかになりました。アメリカでは5年以上も価格据え置きが続いているiPhoneが、日本では毎年のように値上げされてきた背景には、為替の影響が色濃く表れています。
次に、国際情勢や政策変更が価格に与える影響の大きさも見えてきました。トランプ政権の関税政策によって、アメリカでのiPhone価格が急騰する懸念が広がっているように、政治的な要因も無視できません。
一方で、興味深いことに、日本のiPhone価格は世界39カ国・地域の中では比較的安い水準にあるとの調査結果もあります。2024年の調査では、日本のiPhone SEは13か月連続で最安値を記録しています。
私たち消費者としては、為替の動向や国際情勢に注目しながら、購入のタイミングを考えることが重要かもしれません。iPhone新モデル発表後すぐに購入するのではなく、ドル円相場が有利なタイミングを待つというのも一つの選択肢です。
また、今後も円安傾向が続くようであれば、日本でのiPhone価格はさらに上昇する可能性もあります。その場合、長く使うことを前提に購入を検討するなど、消費行動の見直しも必要になるかもしれません。
ということで、iPhoneの値上げ歴史でした!